高阪鈑金工業SINCE 1926 — 大津・坂本
「天窓から雨漏りしたことがある」というご相談でした。天窓だけを直す方法もあります。けれど屋根そのものも傷んでおり、上には太陽光パネルが載っていました。どこまでを、どの順番で直すか。その考え方をご説明します。
大津市内の、スレート屋根の戸建住宅です。屋根には天窓(てんまど/屋根に取り付けた明かり取りの窓)が2か所あり、片側の面には太陽光パネルが載っていました。
ご相談は、大きい方の天窓から雨漏りしたことがあるというものでした。これまでに一度か二度、漏れたことがあるとうかがいました。
現地調査では屋根には上がらず、ドローンで屋根を撮影して状態を確かめました。そのときお施主様から、天窓の板金がはがれて下に落ちているとうかがい、ドローンの写真でもそれを確認しています。
実際に屋根に上がったのは、工事に入ってからです。天窓の外まわりの板金を外すと、その下側に、雨水がまわっていた跡が黒ずみや白い筋になって残っていました。天窓の枠は木製で、ここに水を吸っていたことになります。
あわせて気になったのが、屋根そのものの状態です。スレートは表面の塗膜がはがれ、黒ずみや苔が広がっていました。塗膜はスレートを雨から守る層で、これがなくなると屋根材が水を吸いやすくなります。
天窓の雨漏りは、天窓だけを取り替えて直すこともできます。ただ今回は、そうしませんでした。理由は二つあります。
そこで、屋根全体を「カバー工法」で新しくし、その中で天窓も取り替えることにしました。カバー工法は、既存のスレートを撤去せずに、上から防水材と新しい金属屋根材を重ねて張る工法です。撤去する量が少ないぶん、工期と廃材の処分費用を抑えられます。
あわせて、ふたつ見直したところがあります。ひとつは太陽光パネルの配置です。施工前のパネルは、屋根の端(ケラバ/屋根の妻側のふち)ぎりぎりまで載っていました。屋根の端は風を受けやすい場所で、お施主様も気にされていたため、載せ直すときに配置を変えることにしました。
もうひとつは換気棟(かんきむね)です。換気棟は、屋根のいちばん高いところから、屋根裏にこもった湿気や熱気を外へ逃がす部材です。施工前は2mでしたが、足りているかを計算で確かめることにしました(このあと詳しくご説明します)。
まず太陽光パネルと、それを支える架台を取り外しました。続いて既存の棟の板金を外し、スレートの上にルーフィング(屋根の防水材)「タディスホワイト」を敷き込みます。
雨を防ぐのは屋根材ですが、その下のルーフィングは、屋根材が年数とともに傷んだときに、雨水が下地の木に届くのを防ぐ大事な備えです。天窓のまわりは特に、ルーフィングを枠に沿わせて立ち上げ、隙間をつくらないようにしています。
その上に、金属屋根材「スーパーガルテクト」を軒先から張っていきました。軽い屋根材なので、既存の屋根に重ねても建物への負担が少なく済みます。
手間をかけたのは、棟と、外壁との取合い(水切り)です。ここの板金を留める下地には木材が使われることが一般的ですが、木材は入り込んだ雨水を吸うと年数とともに傷み、板金を留める力が弱くなります。今回は樹脂製の下地材「タフモック」を使い、雨水で腐る心配のない下地にしました。
天窓は、雨漏りしていた大きい方の1か所を、同じメーカー(ベルックス)の固定式の天窓「FS-M04」に取り替えました。もう1か所の小さい天窓は傷みが少なかったため取替はせず、まわりを新しい屋根材に合わせて納め直しています。
最後に、新しい屋根の上に太陽光パネル用の取付金具を付け、ケラバにかからない配置でパネルを載せ直しました。
雨漏りしたことのある天窓は新しくなり、取り合う屋根も防水層から入れ替わりました。雨漏りの原因に、屋根ごと手を入れた形です。
太陽光パネルは屋根の端から離れた位置に収まり、換気棟は計算どおり4mに増やしました。
足場を組む機会は、そう何度もあるものではありません。天窓・屋根・太陽光をまとめて見て、いま直すべきところをお伝えする。それが私たちの役目だと考えています。
ご協力いただいたお客様、ありがとうございました。
換気棟は「付いていればよい」ものではなく、屋根裏の広さに見合った長さが必要です。短すぎると湿気や熱気が抜けきらず、屋根裏の結露や、夏場の室温上昇の原因になります。
今回は、屋根の下にある天井の広さ(天井投影面積)から、必要な換気量を計算しました。
施工前の2mでは、およそ半分しか足りていなかったことになります。そこで棟の換気口を4m分に広げてから、4mの換気棟を取り付けました。
完成すれば屋根の上の小さな部材ですが、こうした数字の裏付けをもって決めることを大切にしています。
写真をクリックすると拡大表示します。
雨漏りしたことのある、大きい方の天窓です。新しい屋根材とあわせて、まわりの板金も新しく納めました。


屋根のいちばん高いところ(棟)です。施工前は2mだった換気棟を、計算に基づいて4mに増やしました。


施工前は、屋根の端(ケラバ)ぎりぎりまでパネルが載っていました。お施主様とご相談のうえ、屋根面の上にしっかり載る配置に変えています。


仕上がってしまえば見えなくなる部分ですが、屋根がどれだけもつかは、この段階で決まります。







新しい天窓は既存の枠より少し高い位置に納まるため、お施主様にご確認いただいたうえで、室内側に白い見切り材を入れて高さを合わせています。








天窓そのものが原因で、まわりの屋根が健全であれば、天窓の交換だけで直ることもあります。
ただし天窓は、まわりの屋根や防水材とつながって初めて雨を止めます。屋根材が傷んでいたり、近いうちに屋根の工事が必要だったりする場合は、今回のように屋根とあわせて直すほうが、継ぎ目の弱点が残らず、足場代も一度で済みます。
できます。パネルと架台をいったん取り外し、屋根を直したあとに設置し直します。今回のように、載せ直すときに配置を見直すこともできます。
パネルの脱着には手間と費用がかかるため、屋根の工事は一度にまとめるのがおすすめです。
既存の屋根を撤去せず、その上に防水材と新しい屋根材を重ねて張る工法です。撤去する量が減るぶん、工期と廃材の処分費用を抑えられます。今回のスーパーガルテクトのような軽い金属屋根材を使えば、建物への負担も少なく済みます。
ただし、屋根の下地まで傷んでいる場合はカバー工法に向きません。屋根に上がって確かめたうえでご提案します。屋根工事のご案内もあわせてご覧ください。
屋根裏に湿気や熱気がこもると、結露による下地の傷みや、夏場の室温上昇につながります。換気棟は、それを防ぐための部材です。
必要な長さは屋根裏の広さで変わります。今回のように、付いていても長さが足りていないことがありますので、屋根の工事の際にはあわせて確かめています。